風上と風下、あきれるほどの空振り

コムタンを食べようとしたら、春雨がつるつるすべって
箸でつかんでも、持ち上げている途中で落ちてしまう。
それで仕方なく顔の方を器に近付けることにしたら、
スープがはねて、なんと、ちょうど滴が右目に入った。
不思議と痛くなかった。辛い系のにしなくてよかった。


実は春雨じゃなくて、マロニーちゃんかもしれない。


休憩時間に、気分転換が必要だと言うので
バドミントンをやった。外の広場は寒いのに。
前回やったときはコルクの部分が硬くて弾力が足りない
気がしたので、家にあったシャトルを持って来た。
その点に関してはずいぶんよくなった感触があった。
昔は本物の羽を使ったものも姉が持っていたけれど、
使っているうちにだんだんすり切れてよごれてくる。
耐久性という意味ではたぶんプラスチックが優れる。


風が強くて、風上から打つと軽くしたつもりでも
最後に伸びるし、風下側からは力一杯スイングしても
押し戻されて落ちる直前に失速して軌道が変わる。
放物軌道を予測して、届きそうなときでも空振り。
自分でもあきれるほど豪快に空振るので笑える。
だけど、風のせいだけでもないことに気が付いた。
変な癖でインパクトの瞬間に目をつぶってしまう。
写真を撮られるときにほぼ必ずと言っていいほど、
抜群のタイミングで目を閉じてしまうのに似ている。
打つ直前に軌道が予想から逸れるので当たらない。
野球とかをするときもそうで、だから苦手だった。


高校の体育の時間、ソフトボールがあった。
ボールが大きいのに全然バットに当たらない。
運動神経がにぶくて、運動全般が苦手だった。
あまりにひどい空振りが多く、見るに見かねて
色付きの眼鏡をしてそうな強面の体育教師に
ちょっと、とバックネット裏に呼び出された。
怒られるのかと思ったら、練習を付けてくれた。
ボールから絶対に目をそらすなと助言された。
途中でボールが消えるのはなぜかと言うと、
目をつぶっているから見えなかったわけだ。
その後も打てるようになったわけではないけど、
理由が分かって、気持ちは変わったはず。


この前、草野球で打てるかどうか不安だった。
やっぱり目をつぶっていたような気がするけど、
力一杯振ったら1球目でまぐれ当たりして、
目を開けたらボールが前に飛んでいた。
次の打者も打って、結局二塁まで進めた。
打てないとくやしいけど、打てるから楽しい。
また草野球をやりに行きたいなと思った。


バドミントンも、しばらくやっていて、
そうだそうだ目をつぶるなよ自分、
と言い聞かせたら、すこしラリーが
続くようになった。わりと単純だった。
最後の方で空振りがちょっとだけ減った。
ラケットのフェースがまだ狭く感じるのは、
小学生のときは自分自身が小さかったから
当時はもっと広く感じていただけなのか、
風に翻弄されて中心で打つのが難しいのか。
でもたまに、明後日の方向に飛んでいく。
コントロールの悪さはまた別問題だった。
動き回ったら、じっとりと汗をかいた。
振り回された相手はもっと大変だろう。


風の中でやるのはむだにレベルが高い。
次やるときはもっと芯でとらえたい。
もっと目をつぶらないようにしよう。


もしバドミントンが上手くなれば、
photogenicになれるかもしれない。