徹夜読み: たしけてくえー

髪が乾くまで小説でも読もうと思って、
読み始めたら最後まで読んでしまった。
空が明るくなりつつある、朝5時過ぎ。


間宮兄弟

間宮兄弟


これでもか! というくらいに
モテない兄弟のお話なのだけれど、
とにかく真正直にいい人たち。
周りの人たちもそれに影響されて
ほのぼのとした気持ちにさせられる。
読んでる方もほんわかしてくる。


ビール党のひょろひょろした兄、明信は、
ぐでんぐでんに酔って家に帰ると、玄関から、

「てつのぶー、たしけてくえー」

と助けを呼ぶ。
コーヒー牛乳党で恰幅のいい弟、徹信は、
いつもいつも懲りない兄貴だとは思いつつ、
甲斐甲斐しくやさしく介抱する。


いつも変に行動力だけある弟は、
すぐに当たって砕けてしまい、
失恋すると決まって新幹線を見に行く。
それは子どものときから変わらない。
弟がまた新幹線を見に行ったことに
ひどく心を痛め、そっと見守る兄。


「たしけてくえー」というセリフが
なんだかツボで、つい笑ってしまう。
いい大人が恋敗れて新幹線を見に行く
子どもっぽさも、実にわかりやすい。
滑稽さをまんべんなくちりばめて、
それでいて温かみを持った雰囲気。


つつましい兄弟愛だとかなんだとか、
そんな風に言ってしまえばそれまで。
でも、いい絆だなあとしみじみ感じた。