Matrix Reloaded
行列
による変換
(=あるベクトルに作用させる,つまり,
あるベクトルに左側から掛けることで新しいベクトルを作ること)
を考える.
(実はこれが,線形になっていることは最後に確かめる.)
いきなりだけれど,
となるようなスカラーとベクトル
を探してみよう.(もしそれらが存在したとして,それに
どのような意味があるのか,何と呼ばれるものかは後述.)
まず,右辺を左辺に移項して,
ここで,この2元連立1次方程式が非自明な解,すなわち
となるような解を持つための必要十分条件は,
左辺の行列の行列式が零となることである。
このとき,
ゆえに,
さて,
とおくと,
ここにおいて,のときは,
よって,正規化を気にしない(大きさは適当にする)と,
また,のときは,
よって,正規化を気にしない(大きさは適当にする)と,
念のため代入してみると,
が成り立つので,
行列Aにおいて,のとき,
のとき,
が確かめられる.
従って以上より,
線形変換A(後で示す)に対して,
を満たす(スカラー)と
でないベクトルが存在し,
を線形変換Aの固有値,
を線形変換Aの固有ベクトル
と言う(ことにする.という決まりなんですな.だから,
意味が分かるとか分からんではなくて,決まりごとです.
そう呼べと.)
最後に補足:
線形変換とは何ぞや?
以下の2つの条件を満たすとき,変換を線形変換と呼ぶ.
(i)任意のベクトル,に対して,
(ii)任意のベクトルと複素数に対して,
ここで,行列Aについて考えてみると,
より,上記の2条件を満たすので,「変換」Aは線形変換である.