宇宙のランドスケープ
500ページ超の厚い本を読み切った。
かかったのは二日だから、一日平均250ページ。
こんなペースで読めるものかと正直驚いた。
- 作者: レオナルド・サスキンド,林田陽子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2006/12/21
- メディア: 単行本
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可能な宇宙全体の空間に「ランドスケープ」
という言葉を充てたのは、視覚的に分かりやすい。
理論から要請される6つとか7つの余剰次元の
コンパクト化の方法の莫大な多様性であるとか、
宇宙論のモデルで何の説明もなくいきなり仮定される
宇宙全体のポテンシャルの概形といったものを、
風景に見立てたランドスケープとして捉える
という視点は、すがすがしいくらいに圧巻だった。
理論的に宇宙のあり方の場合の数を推定してみたら
通りの宇宙がありました。びっくりでしょ?
これほど途方もなく超絶にたくさん可能性があったら、
その中に人間が住めそうな宇宙があっても不思議でない。
でも、壮大な物語の幕はやっと上がったばかりである。
ところで、宇宙にとって 通り
というのはどれくらいの数字なのか考えてみた。
ちょうどこの本は500ページ以上あるので、
各ページから適当に1単語ずつ抜き出してきて
意味のある文章を作れるかどうか想像してみよう。
労力や時間やその他もろもろの物理的制約などを
取っ払ってしまえば、根気よくやれば可能だろう。
しかも、意味のある文章はいくらでも作れそう。
また、ランダムに単語を拾って来るときの場合の数は、
宇宙の可能なあり方を軽く越えていることに注目しよう。
意味を度外視すれば、500ページの本の自由度は
を簡単に越えてしまうことになる。すごい!
これは、宇宙の方が理論的な制約が強い、ということを
意味するのだろうか。たぶんそういうことなのだろう。
こう考えてくると、想像を絶するように見えることも、
身近に引き寄せる方法さえ思いつけば、それなりに、
案外想像できたりするということなのかもしれない。
たかが本一冊からでも宇宙を志向することができるし、
本一冊が宇宙よりも厚いということだってあり得る。