宇宙のランドスケープ

500ページ超の厚い本を読み切った。
かかったのは二日だから、一日平均250ページ。
こんなペースで読めるものかと正直驚いた。

宇宙のランドスケープ 宇宙の謎にひも理論が答えを出す

宇宙のランドスケープ 宇宙の謎にひも理論が答えを出す


可能な宇宙全体の空間に「ランドスケープ
という言葉を充てたのは、視覚的に分かりやすい。
理論から要請される6つとか7つの余剰次元
コンパクト化の方法の莫大な多様性であるとか、
宇宙論のモデルで何の説明もなくいきなり仮定される
宇宙全体のポテンシャルの概形といったものを、
風景に見立てたランドスケープとして捉える
という視点は、すがすがしいくらいに圧巻だった。


理論的に宇宙のあり方の場合の数を推定してみたら
 10^{500}通りの宇宙がありました。びっくりでしょ?
これほど途方もなく超絶にたくさん可能性があったら、
その中に人間が住めそうな宇宙があっても不思議でない。
でも、壮大な物語の幕はやっと上がったばかりである。


ところで、宇宙にとって  10^{500}通り
というのはどれくらいの数字なのか考えてみた。
ちょうどこの本は500ページ以上あるので、
各ページから適当に1単語ずつ抜き出してきて
意味のある文章を作れるかどうか想像してみよう。
労力や時間やその他もろもろの物理的制約などを
取っ払ってしまえば、根気よくやれば可能だろう。
しかも、意味のある文章はいくらでも作れそう。


また、ランダムに単語を拾って来るときの場合の数は、
宇宙の可能なあり方を軽く越えていることに注目しよう。
意味を度外視すれば、500ページの本の自由度は
 10^{500}を簡単に越えてしまうことになる。すごい!
これは、宇宙の方が理論的な制約が強い、ということを
意味するのだろうか。たぶんそういうことなのだろう。


こう考えてくると、想像を絶するように見えることも、
身近に引き寄せる方法さえ思いつけば、それなりに、
案外想像できたりするということなのかもしれない。
たかが本一冊からでも宇宙を志向することができるし、
本一冊が宇宙よりも厚いということだってあり得る。