上昇気流

そろそろお昼を食べに行こうとみんなで繰り出して
エレベーターホールでエレベーターを待っていたら、
野澤が突然、ここの天井ってこんなに低かったっけ?と言う。
たしかに、手を伸ばせばすぐに天井の真ん中に張り付いた
防犯カメラにかんたんに触れられるぐらいの高さに見える。


でももしかして、と思って、
野澤の背が伸びたんじゃないの?と軽く言ってみたら、
本当にそのような気がしてきて、冗談に思えなくなった。
野澤ってこんなに背が高かったっけ?と周りに同意を求め、
絶対、前より背が伸びたんだよ、と繰り返し言ってしまう。


自分たちが気付いてないだけで、成長してるんだよ。
ちょっとポジティブになったから背も高く見えただけ
かもしれないけど、羽を広げればたぶん空くらい飛べる。
どこかに着地しなきゃいけないなんてだれが決めた?
せっかく飛び立ったらそんなに急がなくてもいいよね。


背が伸びたらそれを素直に祝福すればいい、
と思えたら、ちょっとほっこり温かくなった。
たぶんちょっぴりくらいは自分の背も伸びた。
着地先はまだ先ですが、これから探します。