突然だけど、お伊勢さんに参ろうか

どこに行こうか思案しているうちに
そうだ、お伊勢さんを参拝しなければ、
と思い当たる。近鉄で行けるはず。


京都駅地下街のポルタで本屋さんを探して
伊勢・志摩のガイドブックを見つけて眺め、
この時間からでもまだ行けるかどうかを
ネットで乗り換え検索して確かめてから、
間に合いそうなのでさっきの本を購入。


ゆっくり行きたいので特急ではなくて
急行を乗り継いでのんびり向かう。
13:43発 近鉄京都線急行・橿原神宮前行き
    (1時間3分/13駅)
14:46着 大和八木
14:51発 近鉄大阪線急行・宇治山田行き
    (1時間36分/17駅)
16:27着 伊勢市
しめて2時間44分の電車の旅。


時折、車窓を眺めつつ、本を読んで予習する。
いろいろ回るには少なくともまる一日はかかる。
今日はたどり着くだけでよしとして、次の日に
朝からお参りしようかと悠長な計画を練っては
どこかで泊まれないかなと考えてみたものの、
シルバーウィークだということを思い出して
伊勢や鳥羽の宿が空いてるはずもないと諦める。
泊まるとしたら名古屋まで出るかするしかない。


伊勢神宮には少し離れて外宮と内宮があって、
今日中に行けるのは時間的に片方が限度なので、
内宮だけに絞るとして、内宮は駅からバスで
20分くらいかかって17時くらいには着ける。
この時期は18時まで開いてるということなので
やや早足で1時間くらい見る時間がありそう。
伊勢市駅に着いたらバス乗り場を探して見やると
ちょうど信号の向こうのバス停にバスが来てて、
勢い走り込んでなんとか滑り込んで乗車した。


そんなに距離はないものの、ちょくちょく
停まるので早く着かないものかとやきもきする。
他には地元の中学生が部活の帰りらしい風情で
一人乗っていて、その彼と入れ替わりに今度は
若い女性が乗って来て熱心にメールを打ち始め、
その人も降りた後は乗客は自分だけになった。
17時過ぎくらいに内宮前に着いて歩き出す。


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五十鈴川にかかる宇治橋。内宮への玄関となる。
今はちょうど式年遷宮の掛け替え準備中で、
残念ながら隣に掛けられた仮の橋を渡る。


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道の左右に芝生の上に松が植えられた神苑を行く。


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手を清めてから鳥居をくぐる。


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他の参拝者の方が立ち止まっていなかったら、
気付かず通り過ぎてしまいそうなところに
祀られていた四至神(みやのめぐりのかみ)。


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森の中を進む。道のまん中にも巨木が聳える。


この先のあたりで、右手の森の中を鹿が二匹
飛び跳ねて駈けていく頃に、仲の良さそうな
グループが声を上げて写真を撮り合っていて、
木に抱きついてポーズを撮っている人が、
やけに先輩のYさんに似ているなと思ったら
本当にそのご本人で、名古屋の学会の帰りに
お参りに来ていたYさん、Oさん、Kさんと、
発表を大成功させた後輩のTさん達だった。


こんなところで、しかもお宮が閉まりかける
日も暮れ始めたこのまったく同じタイミングで
お参りしていてばったり出会うなんて奇跡だ。
ひとしきりびっくりし合ってから行動を共にする。


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左から順に、Oさん、Tさん、Kさん、Yさん。(たぶん)
ご正宮の方に上って行く石段の手前にて。
この先からは撮影はご遠慮下されたしと。


ご正宮は四重の板垣に囲まれた中に唯一神明造り。
まず何より、今日の僥倖に感謝して手を合わせた。
それから物事が上手く運ぶよういろいろ願った。


後で知ったのだけれど、ご正宮は天照大神を祀り、
ご神体は三種の神器のひとつ、八咫鏡(やたのかがみ)。
天照大神が天岩戸にお隠れになられたときに、
石凝姥命(いしこりどめのみこと)がこの鏡を作り、
岩戸を細めに開けられたときに御身を鏡にお映しし、
興味をお引きして外に誘い出したという鏡である。


ご正宮の隣には、新御敷地(しんみしきち)があって
平成25年に遷宮するための空き地がぽっかり空いている。
ほんのすぐお隣にお引っ越しされるというのが不思議だ。
しかも、それを1300年以上も続けているから天晴れ。


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屋根の上がいい具合に苔むした御稲御倉(みしねのみくら)。
高床式の御倉で階段がないのでどうやって上るんだろう。


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別宮のひとつ。荒祭宮(あらまつりのみや)。


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白石と黒石を丁寧に並べて敷地の境界を表していて、
そのコントラストがくっきりしていてはっとする。


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楽殿。お神楽は神遊びとも言うらしい。


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左から、Tさん、Oさん、Yさん、Kさん。
正面に見えるのが風日折宮橋の手前の鳥居。


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五十鈴川にかかる風日折宮橋(かざひのみのみやばし)。
木造でとても味のあるいい橋。


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その橋の上から見えた夕焼けの空。


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鉄砲水で大木が流れ橋を壊すのを防ぐ、木除け杭。
小さな屋根が付いてるのがかわいいねと言ったら、
すぐ後にKさんも同じことを言ってておかしかった。


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別宮のひとつ。風日折宮(かざひのみのみや)
の左側にあった小さな社。たれぞおわすや。


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帰る頃には燃えるような夕焼けだった。


もう森の中は真っ暗で道が見えないほど。
手水舎でしか手を清めていないと言うと、
御手洗場で手を洗ってきなよと勧められ、
五十鈴川の清流に手をひたしてくる。
ほんのりひんやりとして、気持ちいい。


バスは終わっていたのでタクシーを呼んで、
前二人、後ろ三人でぎゅうぎゅう詰め。
来るときよりなぜかひとり増えてるよ、
と誰かが言ったので、みんなで笑った。


お土産を買って名古屋まで急行に乗る。
明日から岡崎でワークショップがあって、
YさんとKさんはそれにも出席するらしい。
もともと参加するつもりはなかったけれど、
かなりだいぶ迷った末に、せっかくここで
会ったのも何かの縁かもしれないわけだし、
もうすこし旅を続けてみることにした。


名古屋駅の地下で見つけたお店に入り、
黒豚入りの味噌煮込みうどんを喰う。
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しっかりした味でしこしこうどんが絶妙。
きゅうりときゃべつのお漬け物と、
玉ねぎスライスのお代わりをした。