早起きの日のできごと

おっと遅刻する、と急いで大学に行ったら、
意外と早めに到着できてまだ誰もいない。
しかし、連絡ミスがあって、授業は休講に。
外に出たら、すごい晴れて澄んだいい空で、
こんな天気のいい日にこんな穴蔵みたいなところに
籠もっていたらダメじゃないか!というような
養老さんの言葉を思い出した。


帰り際に、と言っても、まだ朝の9時過ぎだから
なんだか帰る実感など沸くはずもないのだけれど。
予約してあった柴崎友香の新刊が届いてたのを
思い出して、あ、今だ、と、受け取りに行った。
大阪から上って来て、どうも原宿が好きらしい。
原宿という文字が現れる前に、半蔵門線と銀座線が
接近する駅というような描写があるのを見て、
あ、また原宿が出て来たのかなと、ぼんやり。


まだお昼には早すぎて、すこし行きたかった場所も
まだたぶん開いていないので、近くに知り合いが
いないかなと思って、なんとなくメールしてみた。
近くにいそうな人に連絡を取ってみたら、あいにく
今日は近くなかったということが分かってしまった。


じゃあ、これから会いに行ってもいいですか?
と送ると、自宅はいま立ち入り禁止だ!だって。
ふだんならそこで諦めているところだろうけど、
なにせ今日は天気がよくて、早起きしたんだから。
すぐ電話をかけて、お昼に会う約束を取り付けた。


実は、まだパジャマなんだよね。
そのままでもいいですけど、外は寒いので、
せめて上にコートくらい羽織って来てくださいね。
この格好で外に出るのはちょっと気が引けるから、
やっぱり着替えてから出るよ。


待っている間に本屋さんを見つけて、立ち読み。
養老さんの本を手にとって、そうか、これは
穴蔵の話を思い出したところがプライミングで、
無意識に手にしたつもりが、実は流れがあって。
まともな人というエッセイ集で、まさしく、
そのタイトルのエッセイを読んでいる途中に、
お待たせーとやって来たので、結局のところ、
どういう人がまともなのか分からずじまい。


久しぶりにほろほろさんに会いたくて、
いろいろ話もできてよかったし、
ついでに、おいしいものも食べた。
おしゃべりなので、食べている間
ずっと話が尽きず、止まらない、
相槌を打つので精一杯だった。
いくらなんでも一方的に聞くばかりだ、
と最後の方にすこしだけ反撃して、
こちらの話も聞かせることにした。
気が置けない間柄であったとしても、
でも、ちょっとばかし言い過ぎた。


ちらちら時間を気にしているようで、聞くと、
これからバイトに行かなきゃいけないと。
たぶん、半年後には社会人になるということも
すこしだけ聞いて、やりたいことがはっきり
していて、目標があって羨ましかった。
いつか、本を書きたいとも言っていた。
その本が早く読みたいと、強く願った。


その後、旅するジーンズと16歳の夏
というマイナーな映画を観に行った。
心温まる、という陳腐な言葉は嫌だけど、
途中でちょっと泣きそうになった。
たとえお決まりとも言える展開でも、
押し付けがましくなければ別にいい。


映画の途中で、何度か睡魔に襲われ、
その度、映画の魅力の方が打ち勝った。
でも、やけに目が疲れてる感じがして、
しかも眠いのはなぜだろうかと自問した。
そこでやっと、徹夜でゼミの準備したのが
つい昨日の明け方、2時間しか眠れず。
今日も早起きして6時間弱くらいだった。
それで、疲れが取れていなかったみたい。


年を取ると、筋肉痛が時間差で来る、
というのはよく聞く話ではあっても。
睡眠不足による睡魔も、年を重ねると、
時差でやって来るなんて聞かないよね。
そんな話を冗談でしたら、笑われた。
眠気が吹っ飛ぶくらいの一日だったのか。
外が暗くなって、青空が終わったから、
ひとつ夢を見終わって眠くなっただけ。