発表

朝5時くらいから"CPU"が空くというので
それまでにできた部分を送るために
寝ないで最後のスパートをかけた。
重たいファイルなので届いたか心配で
何度も確認のメールを送っていたら、
やっと受け取れたと返事が来て安堵。


それからrevisionが送られてくるまで
気が気でなかったけれど、少し横になったり
でもやっぱり心配で寝られなかったり。
同室の友人が朝から鼻唄を歌いながら
今日のプログラムをチェックしていて
元気よく「行ってきまーす」と言って
出掛けて行った。お前もがんばれよ、
と声を掛けてくれたのが救いだった。


ようやく修正箇所が来て、それを直してからは
ポスターにするためにタイトルを印刷して
本文を念のため2部印刷しておいた。
持ってきたプリンタがちゃんと動いてくれて
壊れていなくて本当によかった。


準備が整ってパリッとしたシャツに着替え、
いざ会場に向かおうして外に出て、はたと、
会場までの道のりを憶えていないことに気付いた。
昨日は行かなかったし、1日目はみんなで
道を探しながらかなり迷いつつ行ったので
道順が分からない。泣きそうな気分になった。
パソコンに入ってる地図を探せばいいのだけれど…。
幸いなことに道路をシャトルが通りかかったので
バッジを振って運転手さんにアピールしたら
あっちあっちと乗り場を示してにっこりしてくれた。
それで急いで駆けて行って、乗せてもらえた。
降りるときに同じ列に座っていた背の高い女性が
天井に頭をぶつけていたので、あ、痛っ。
ポスターを持っていたので、自分と同じように
気が急いているのかもしれないと思った。
顔を見あわせて笑った。すこしリラックス。


会場に着いたら、まだ早めだったけれど
自分のポスターの指定位置を探しに行った。
とにかく広いので場所を探すだけでひと苦労。
午後の分をもう張り始めている人がいたので
自分もさっそくできたてほやほやのポスターを
貼って行くことにした。研究員の人が手伝ってくれて
テープで一枚ずつ留めながら、急く心を落ち着けて
丁寧に敷き詰めて行った。見栄えを気にしてたけど
きれいに貼ったら意外とポスターっぽく見えて来た。
貼り終わってすぐに読み始めてくれた人がいて、
緊張のあまり話しかけられずにちょっと離れて
どきどきしながら静かに見守っていた。
じっくり読んでくれて、それだけでうれしい。


そわそわしすぎてどうしようもなかったので、
コアタイムがまだ先なのをいいことに一度
その場を離れて、先輩の様子を見に行くことに。
英語の表現を直しながら最後の練習している所だった。
自分はきちんと説明の仕方まで詰めていなかったので
頭の中で思いつく表現をいろいろ反芻してみた。
考え事をしていたら案外すぐに時間が経ってしまい
コアタイムなので意を決してポスターの前に経つ。


自分でも笑っちゃうくらい下手くそな英語だけど
いろいろ飛び出す質問に手振り身振りを交えつつ
なんとか説明しているとだんだん楽しくなって来た。
途中で後輩が英語の表現をいろいろ直してくれて
上手いプレゼン方法を伝授してくれてパワーアップ。
タスクのサンプル刺激を用意しておいたので
その場で実際に体験してもらうと話が早かった。
皆に楽しんで面白がってもらえて、内容についても
伝えたいことが伝わった実感が湧くと気持ちいい。
興味を持ってくれた人達といろいろ議論ができたのも
なにものにもかえがたい非常に大きな収穫となった。


説明に夢中になっていたらあっという間で、
ポスターをはがすのが残念にすら思えた。
みんなと合流して、海に浮かんだいい感じの
お店で打ち上げをした。サンディエゴの地ビール
Mermaids Red Aleというのを頼んだ。
きれいな赤いエールビールでほろ苦くてすきっとした。
料理をみんなでシェアしてたくさん種類を食べられた。
昨日からリンゴくらいしか食べていなかったので
お腹ぺこちゃんだったのでどれも格別な味わい。


海沿いの風情ある帰り路を夜風にあたりつつ歩き、
「お姫様の階段」を上りながら談笑して、
すごいハイになってる自分に戸惑いながらも
今日くらいはまあいいかと思ってよくしゃべった。
幸せな気分に包まれて最高のほろ酔い加減だった。
ホテルの部屋に移動して、先輩のお誕生パーティは
ケーキを食べたらわりとすぐに寝てしまった。
でもケーキをきちんと食べてるあたりが自分らしいと
目が覚めてから振り返って、おかしさを噛みしめた。
なかなか巡り合えないような本当にいい一日だった。