ティファナ

会場で朝ごはんにチュロス(アイス付き)を買ったら
これ以上ないというくらいでろでろあやしく光ってて、
甘さ爆発、実は80%くらい砂糖でできてるかも、
というくらいとろけてた。(実際表面がとろけてる。笑)
それをさらにアイスに付けて食べるという暴挙を許せ。
手がべとべとで途方もなくなりつつがっついていると
強烈な甘さと香りでうぉーと叫びたくなった。


ようやく気兼ねなく会場を回れる立場になったので
スライドやポスターを転々としながら聞いて回る。
昼に野澤と合流して、見つけてあったという
よさそうなレストランに向かう。かなり待ってから
注文したサンドイッチが届けられる。ボリューム大。
Evergreenという緑まばゆいベジタブルサンドにした。
このお店の売りであるチーズもちゃんと入っている。
連日どっしりしたものが続いたのであっさりに憧れて。
新鮮でしゃきっとした野菜にかぶりつくと瑞々しい。
店員さんたちが軽快な感じでお盆を投げ合ったりして
遊んでいる若くて活気のあるフレッシュなお店だった。
帰り際に空いたグラスを目にとめてコーラのお代わりを
持って来てくれて、もう飲めないよと思いつつも
半分くらいがぶがぶ飲んでデザート代わりになった。


会場に戻るとまだ時間が少しあったので
企業ブースを久しぶりにぐるぐる回る。
さすがに最終日でノベルティも尽きていて
これは何?どうやって使うの?とか質問しつつ、
おもしろそうな機材のブースをひやかしながら
大量に余っているペンやら何やらを蒐集した。
それから今回の発表のとりを飾る先輩の
堂々とした発表を聞いて学会を締めくくった。


午後はすこし足を伸ばしてメキシコの
ティファナに行ってみることになった。
72時間以内なら手続きなしで入国できるので
トローリーにゆられて国境まで向かう。
地元の子どもたちが陽気で超ハイテンションに
笑い転げていて、そのパワーに圧倒される。
最後は徒歩で、遊園地の入り口みたいな感じで
ガラガラまわる柵を越えるとそれが国境らしい。
あっけなく入国すると露天の店番たちが
怪しい日本語で話しかけて来て笑えてくる。


見るだけタダ
ココ安いヨ
トモダチprice
社っ長サン
サイタマ
サトウサン


大通りを歩いているとカタコトの日本語で
次々話しかけられて、苦笑いがとまらない。
日本からの旅行者に聞いたのだろう日本語を
懸命に使ってるようだけど、かえって
寄って行こうという気が失せるのはなぜ。
一度だけ大通りから反れて中の道に行ってみると
とたんに英語や怪しい日本語が一切なくなって
メキシコの下町に来たという実感がわいた。


ひと通り見て歩いてから、ガイドに載ってた
レストランに入ると、かっこいい店員さんが
サービス精神旺盛でいろいろ話しかけて来て
楽しかった。Bésame Mucho.はKiss me alot.
という意味だと教えてくれたり、どんな音楽が好き?
と聞かれて、J-POPだと無茶を答えた奴がいて、
それはないけど、と言ってメキシカンポップを
かけてくれたり。今風のノリのいい曲だった。


最初はドリンクだけのつもりだのに、
気付いたら料理もどんどん食べていた。
コロナビールを頼んだけれど、出て来たのは
違う会社の"El Sol"(太陽という意味)というビール。
すっきりとして美味しいビールだった。
沖縄のオリオンビールもそうだけど、暑いところの
ビールってすっきりして美味しいのが多いのかな。


本番のメキシカンは他所で食べる偽物とはちがって、
さすがに美味しくて、そして本当に辛かった。
チーズの入ったトルティーヤに豆を乗せるのとか
ハラペーニョの揚げ物とかどれもとにかく絶品。
みんな平気そうに食べていたけれど、次の日とか
結構つらかったのを我慢していたんだろうな。


マルガリータは、グラスの縁に塗られた塩を
舐めながら飲むと美味しさが増してグッド。
テキーラベースのお酒で、テキーラはトウモロコシ
のお酒だと誰かが言ってたけど、あれそうだっけ、
サボテンから作られるんじゃなかったっけ、
と思ってあとで調べたら、サボテンじゃないけど
アロエのでかい版みたいなAgaveという植物から
作られるらしい。そう言えばもやしもんでも
川浜たちが農大祭でアロエみたいのを盗んで来て
テキーラを作ってたよな、とか思ったりした。


たくさん食べたのにすごく安くて物価の違いを痛感。
ペソはドルの10分の1くらいだから、それでも高いのかな。
でもアメリカで食べるよりここに来て食べた方が全然安い。
帰りはパスポートのチェックだけで簡単にアメリカに
再入国できて、アメリカとはまた空気の違った
束の間の異国情緒が味わえて、足を伸ばして正解。
橋の上から振り返って眺めたメキシコの夜景は、
小さな灯りが無数に広がっていて、素朴に美しかった。