Δpがcontingencyだって言うけれど

Causal inferenceとかcausal judgementについて
調べていたらcontingencyという単語が頻出する。
Contingency learningという言葉もあるらしい。


オペラント条件付けでレバーを押したら水がもらえる
スキナー箱の中のネズミ君が、のどがかわいたから
いてもたってもいられなくて、水、水、水はないかと
動き回ってるうちに身体のどこかがレバーに当たって
あれっ、水が出てきたぞ、ごくごく。と繰り返して、
いつもこの辺に近づくと水が出ることがあるっぽいぞ
でも毎回ではないし近づくだけじゃだめみたいだし
関係ありそうなんだけどいったいどうなってるんだ、
という感じがcontingencyなのかな。


ある事象Aとある事象Bとをどう結びつけるか
というcontingencyの度合いを測るものとして、
事象Aが起こったとき(A)に事象Bが生じる確率と
事象Aが起こらなかったとき(〜A)に事象Bが生じる確率
との引き算で、

Δp = P(B|A) − P(B|〜A)

という指標を定義する方法がある(Allan, 1980)。


A、Bは何でもいいので、レバーを押したら水がもらえるとか、
夕焼けが見えたら次の日は晴れるとかいろいろ当てはめ可能。
右に動いたら、鏡の中の像も右に動くとか、なんでもいい。
ある事象と別の事象との間に確率的な(とまで言えるかどうか
わからないけれど、少なくとも、統計的な)構造があるときに
因果性を感じるというモデルの検証には有用かもしれない。
動物や人間がΔpという量を/で把握してるかどうかは別問題。


ただし、事象が生じたかどうかを0、1で決められるとき、
つまり、A∩B、A∩〜B、〜A∩B、〜A∩〜Bの
いずれかに分類できるときしかこの指標は使えない。
このクロス集計表のことを、contingency tableとか
contingency matrixとも呼ぶらしいと始めて知った。


そういうcontingencyは随伴性と訳されることもあるけれど、
そう訳す必然性もない気がする。まとめて表にした時点で、
AであったかAでなかったか決まってしまっているわけだけど、
表以前の、Aであるかもしれないし、Aでないかもしれない
どっちつかずな感じを殺す前のニュアンスを大切にしたいから。
あるいは、今までのデータではアンサンブルとしてこうだけど、
じゃあもう一回やったらどれになるのかなと夢想することとか。