Extraordinaryを志向して

誰かの言葉が失われないように記録する人は偉大だ。
ニーチェが文献学者だっただけでも、文献学者は偉大だ。
発狂しないで生きることのいかに辛きことよ。

ハビタブル・ゾーン、と独り言のように呟いてみる。
妙な響きを持つ言葉だと思った。


「何だろう、人並み、みたいな」
「人並み?」
「そう。人並みに生きていける領域、って感じがします。」

生田沙代『たとえば、世界が無数にあるとして』


「おやすみ。」と鼠は言った。
「おやすみ。」とジェイが言った。「ねえ、誰かが言ったよ。
ゆっくり歩け、そしてたっぷり水を飲めってね。」

村上春樹1973年のピンボール』、『アフターダーク


地面を見ると、死んだ蝶々や、ちぎれた羽が、
点々と色とりどりに落ちている。
下に落ちればゴミだ。
「花の蜜のような儚いものしか食べないから、
そんなキレイな色になって、短く死んでしまうのよ」
と、私は踏んで帰った。

山崎ナオコーラ『ラマラマ』


平凡であることを厭うひとびとに幸いあれ。