竈から立ちのぼる湯気のごとく自由闊達に

スプリングスクール二日目(予習会を一日目として)。
朝9時から3時間くらいで昨夜の予習会のつづき。
よくまとまった発表で適格に6本強の論文を紹介してもらう。
自分が紹介した論文の関連研究がいくつかあり、やっと
ここで位置付けが見えてくる。そういう文脈だったのか。


奈良先(NAIST)の学生・ポスドクさん方とランチに行く。
会場の目の前、京町家のお店の暖簾をくぐると二階に通される。
和室なのに背の高いテーブルが置いてあり、意表を衝く。
すこし遅れてOさんがいらして七人になったので、隣から
椅子を運んできてもらい、Iさんがお誕生日席に着かれる。
Hさんと同じちょっとお値段も張るけど豪華なお弁当にする。
Lunch in Kyoto
ああ美味しい。ついつい無言になってしまう。


そのお部屋から見えた中庭。風情がある。
Cortile of machiya in Kyoto


帰りに暖簾をくぐる前の左側におくどさんがあった。
Okudo-san
こういうのおばあちゃん家にもあって使っていた。
お正月の前に餅米を升単位で蒸してお餅を搗いた。
九の着く日は兎さんの日だから避けて、と言って。


午後から本格的に、レクチャーが始まった。
先生おひとりにつき2時間。密度が濃い。

  • Dr. Geoffrey J Goodhill (University of Queensland)
    Growth cone guidance by molecular gradients
  • Dr. Alex L. Kolodkin (The Johns Hopkins School of Medicine)
    Molecular Mechanisms Governing the Establishment of Neuronal Connectivity

成長円錐の伸長の実験とモデルの話、それから、
セマフォリン系による忌避もしくは誘引について。
ちょうど、伸びる方とそれを引っ張る/反発する方で
対になったトークになっていてストーリー性がある。


夜はポスターセッション。たくさん聞きに来てくれて
みんなかなり興味を持っておもしろがってくれて、
質問もばんばん飛んできて、活発にやり取りしてる間に
かなり長い時間いろんなディスカッションができた。
一番驚いたのは、同じ刺激を使って実験したことがある
という方が聞きに来たこと。Varelaらの論文を読んで
発展させてみようと思う人はやっぱりいるんだと嬉しかった。
どこで苦労したかや、刺激作成に関するコツなどについて
かなり詳細で的確なありがたいアドバイスをいただけた。
共同研究を申し込めばよかったんじゃないかとさえ思った。


他にも、こういう解析をした方がいいとか、このデータの
呈示の仕方はこうした方がよいとか、ここの解釈の妥当性
についてはどう考えているのかとか、次にこういう実験も
やったらいいとかもらえるのは示唆に富んだコメントばかりで
今回あまり重視していなかったけれど発表した甲斐があった。
どこぞやの大学の頭が硬すぎる連中より、ここでお会いした
数多くの院生やPDの方々の方がはるかに頭がいいじゃないか。
言葉遣いを直すぐらいしか能がなくて、本質に関わるような
まともな質問のひとつもできない輩っていったい何なんだ。
まあいいや。若くて優秀な人たちに会えて本当によかった。
時間が十分あったので、他の人の発表も聞きに行ったら、
皆おもしろいことをやってて、とてもいい研究をしていた。


夜遅くまで宴会が続いた。組織の問題点について
いろいろ熱く議論されていて、似たような構造は
普遍的にどこにでもあるのかなと思ってしまった。
まだ間に合うから、自由になることが大切だ
というメッセージが何度もくり返されていた。