ガールズファイル

Girls
柴崎友香の最新作である。前半はノンフィクション。
27人のはたらく女の子たちの報告書と副題にある通り、
インタビューで聞き出したお話をまとめたもの。
さまざまな職種の20〜30代の女の子たちの生の声。
恋からをもっとまじめにした感じとでも言うか。


Hanako westに連載されていたものということで、
westというところがポイントなのかもしれない。
誰もが開口一番、おもしろい話なんて何もないですよ、
と言ったそうだけれど、そんなことはなかった。
今に至る経緯の数々にわりと劇的な展開が多くて、
20代で自分のお店を持ったり事業を始めたりとか、
でも失敗したり、思い直してまた一から始めたり、
アクティブで前向き(ときどき向こう見ず)ですごい。


惜しむらくは話し言葉で書かなかったこと。
一人につきひとセリフだけ印象的な言葉が
引用されているのだけれど、物足りない感じ。
説明調にしなければもっと活きていたはず。
柴崎さんが芥川賞候補になったときの選評で、
会話の書かれ方だけは山田詠美が褒めていて、
でもただただ可愛く会話してるだけだよね、
暇な殿方なら楽しく読めるかもしれないけど。
と酷評していたのを思い出してしまった。
でも、敢えてそれを避けて書いたのかも。


きっとそう感じる人がいることを見越して、
最後に『毎日、寄り道。』という小説を収録。
こっちの方がもちろん全然柴崎さんらしい。
ドラマチックな現実でなくても、何気ない日常。
飾らなくてもそれでいいんじゃないかと思う。
知らなかった職種の人たちにインタビューして
いろいろ話を聞いたことはきっと活かされてる。
街角や電車でたまたま聞こえてきた会話みたく、
そんな感じで自然に聞きとれるような気がした。