引っ越しという作業の運動性

溯りすぎかもしれないけれど、書かないと。
野澤くんの引っ越しを手伝いに行った。


この日をまずまとめるとこんな感じだ。


箱詰め、箱探し、箱詰め、運び出す、お昼、
つづき、電車/車/自転車、運び上げる、湯。


ラボのメンバーや僕らの同期のKさん、
それにZさんが家が近いのでと自転車で
手伝いに来ていたのでびっくりした。
片端から箱に詰めてどんどん下ろして、
トラックに詰め込んでいく。どんどん。
箱がなくなったら商店街に探しに行って、
獲得した箱を持ち帰ってまた詰めていく。
最初だけ丁寧にガムテをハサミで切ったけど、
そんな悠長なことはやっていられないので
がしがし豪快に手でちぎるようになった。


お昼をごちそうになってしまった。
Sさんが上のお手洗いから降りてきたら
その後ろにぞろぞろ子どもや大人が
降りてきたので、召還したんですか、
と言ったら、みんなで笑った。
上からの風景はこんな感じ。
Chinese lunch


トラックが満杯になって区切りがついたら、
電車部隊は電車で引っ越し先に向かった。
乗り換えを失敗して違う線の駅に来てしまい、
一度改札の外に出ないと反対ホームに行けず、
どうせだから正しい駅まで歩くことにして、
東京スカイツリーが半分くらい完成したのを
見上げながらてくてく歩いて正しい路線に戻る。


後半戦。順次3階まで箱を運び上げる。
書籍の入った箱の重量はなかなか侮れない。
途中でバケツリレー方式に変更した。
リュックを背負ったまま運んでいたHさんが、
「オレ、なんで亀仙人の修行みたいなこと
やってるんだろう」、とぼそっとつぶやいて、
亀の甲羅を下ろしたら俄然パワーを出した。
そうだ、この程度の修行でへこたれてる
わけにはいかないと自分も心に決め、
つらいけど楽しい、これが俺らの青春か、
と思いながら、せっせと修行に励んだ。


歩いたり自転車に乗って行ってすぐ近くの
ご実家に挨拶して、また湯につかりに行って
ご飯を食べようというので、向かった。
格別の湯治となり、今日の体が癒えた。
湯につかりながら四方山話に花咲かせた。

ヒノキの湯から月が見えた。
肩から上は風がつよくて冷えるけど、
湯の中はじんわり温まる。

風呂上がりに三ツ矢サイダーを飲んだ。
しゅわっとした。

Mar 21st @fronori on twitter

ネズミはひどく喉が渇いていた

スプリングスクール最終日。
朝食ビュッフェでどこに座ろうかと思って
見渡したらDさんが一人でいらしたので
その前の席に歩み寄り、ここいいですか?
と言いながら答えを聞く前に座り込んだ。
それから、研究室のこととか研究の方針とか
いろいろ根掘り葉掘り聞いてお話してみた。


他のラボでは作業を分担しているところが
多いけれど、一人で全部やるのだそうだ。
行動実験もして、スライス標本も作って、
顕微鏡観察もして、データを取って解析して、
モデルを作ってシミュレーションまで全部、
自分ひとりでできるように訓練したそうだ。
そうすると結果的に、他の人の作業待ちなど
無駄な時間がなくなって効率性が上がる。
その代わり自分が手を動かさないと進まない。


どこかと共同研究などして、自分が特化した
専門的な作業だけをするのもひとつの方法。
でも、広い視野を持った人がいないと
きっとどこかで行き詰まったりするはずで、
全体を俯瞰できるようにするのはすごい。
そのかわり、なんでも自分でできるように
心掛けるのは並大抵の努力じゃないと思う。


Dさんはおしゃれで、服はいつも寺町で
買いそろえるのだそうだ。センスもいい。
毎年、スクールの空き時間に観光ツアーを
主催してくださるそうだけれど、今年は
残念ながら予定が押して時間がなかった。


チャックアウトしてから講義の部屋へ
荷物を持って移動して、着席する。

  • Dr. Andreas Schaefer (Max-Planck Institute)
    Cellular mechanisms regulating behaviour:
    Inhibition in the olfactory bulb and fast odor discrimination in mice

マウスの嗅覚で匂い弁別と側抑制の話。
自分が予習会で担当した論文の著者の講義、
というだけあって、一番よく話が分かった。
疑問に思っていたところをたどたどしく質問したら、
それはgood questionだと褒められて、答えてくれた。
喉が渇いたので、報酬の出ない試行ではパスを選んだ。
でも動物がその行動を取った本当の理由はわからない。
だから、行動主義という立場があるのだった。
でも、分かりやすさのため擬人化して説明するときに、
それはどれくらい真実を言い当てているんだろう?


マウスがconfidenceに従って行動しているという
報告がNatureにあった。マウスはメタ認知するのか。
Kepecs A, Uchida N, Zariwala HA, Mainen ZF (2008)
Neural correlates, computation and behavioural impact of decision confidence.
Nature 455:227-231. (PDF)(Suppl PDF
あ、この著者のUchida & Mainenのグループは
どこかで見たぞと思ったら、前回の日記にも登場した
まさにDr. Schaeferのライバルグループじゃないか。


この辺りのことは朧気ながらやけに記憶に残っている、
と思ってググったら自分のブログ(これ)が引っかかった。
http://d.hatena.ne.jp/openlimit/20090925
発散気味ながら、すごいたくさんレビューしてた。
すごいぞ自分、と言いそうになった。というか、
だけどタイトルだけじゃなくて中身読まないと。


何をしてメタ認知の成立と見なすのか、
という問題はとてもおもしろいと思う。
メタ認知の部分集合が自己認知なのかな。
Self-recognitionをGallupの発見したように
mirrorを使って定義するなら、それよりもっと
広いクラスを定めるなら何を使えばいい?
「内面を写す鏡」はどんなものだろうか。


話が逸れたので戻すと、マウス匂い弁別の嗅覚系。
これから行く行く、集団の中での実験をやりたいと
おっしゃっていたけれど、Hさんが質問したように
いろんな匂い(background noise)が混ざった中で
匂い弁別をするという自然な状況ではどうなるのか。
ありとあらゆる化合物の複雑な組み合わせの中で
特定の匂いを弁別するのは大変な計算だと思う。
でもたぶんそれができる、というのがすごい。
組み合わせ爆発を回避するような計算論があって、
それが神経回路でも実装されているんだろうな。


スクールの終わり方はわりとあっさりしていた。
近くの町屋風、中はモダンなお店でランチして
錦市場あたりをぶらぶらしてから、どこに行こうか
迷って、すごく久しぶりに植物園に行ってみた。
Flowers
温室の中に花が満開で、それはすばらしかった。
外では梅が咲いていて、近くに水琴窟があって
地面から出た竹筒に耳をそっと近付けると、
しずかに水の滴る透明な音が響いていた。


帰ってから祖父母のお見舞いに行ったら、
おばあちゃんが鼻血が止まらないと言って
横になっていて、すやすや寝息を立てていた。
そっとしていたのに、だいぶ経ってから、
おじいちゃんが、おい、そろそろ起きろと
起こしてしまったので、枕元に立っていた
僕の方を見て驚き、叔父さんの名前を呼んだ。
連絡しないで行ったので、びっくりしていた。
顔が似ているから、寝ぼけていて見まちがえた
のだと思っていたのに、後で母に聞いたら
ちょっと太って顔がふっくらしたからますます
似てきたのだろうと言う。そうだったのか。


この1週間ばかり、毎日せっせとよく食べ
早起きして朝からビュッフェで山盛り食べ、
お腹がたるんできた。これが世に言う、いや。
まだ間に合うはずだから、運動しなければ。
毎日英語のレクチャーでたぶんストレスもあり、
それを補償するかのように食べ過ぎだった。
だけど、体型以外にも確実に自分は変わった。
いろんな人と話して、気付いたこともあるし、
まわりがよく見えるようになった気がする。
それになにより毎日楽しかった。ごちそうさま。


このスプリングスクールをずっと忘れない。

露知らず、時間こんがらがる

ここまで書いて整合性が取れないことに気付いた、
宴会の部分の話が一日ずれているということに。
つまり、二日目の宴会の話は実は一日目の夜で、
三日目の宴会の話は二日目の夜のことであって、
だから、長話をしたのはバンケットの後ではなく、
二日目の夕飯(お弁当)を食べてからなので
つまりポスターセッション1日目であって、
この日は20:00からの開始だったということで、
そうすると、5時間立っていたことになる。
そして、翌日の三日目は、Nさんは疲れが出て
午前中の講義に出られなかったと言っていた。


ここで記憶を辿ると、三日目の夜は
バンケットの後にポスター発表を確かにして、
それを撤収してから和室の宴会部屋に移動して
かなり遅くまで飲んで話をしていたと思う。
外は雨が降っていたそうだが、この日は朝から
晩まで全部埋まっていたので結局、一度も
外に出なかったので、翌る朝、外を見たら
道路が濡れていたので知るまで知らなかった。


ポスドクの方の話で、おもしろそうなラボが海外に
あるというのでアプライして、でもその分野は
明るくないのでこれから猛勉強しようと思った矢先、
先方からいきなり連絡が来て、今すぐ面接すると。
しかも、初対面でスカイプで英語の面接が始まり、
そのラボで扱っている実験系に携わったことがあるか、
という質問に、胸を張ってNO!と答えて冷や汗ながら、
度胸があると認められたか面白いやつと思われたか、
無事採用されたという人の話がすごく面白かった。

異端であることがすなわち健康的である

スプリングスクール三日目。
夜更かししたけれど、なんとか早起きして
1階のレストランで朝食のビュッフェ。
たびたびお代わりして、つい食べ過ぎる。
午前中の予定表では講義が1件3時間で
ミスプリじゃないかといぶかしがっていた。

  • Dr. James Bower (University of Texas, San Antonio)
    What does the cerebellum do, and how does it do it

でもそうじゃなかった。
「君たちが質問して、私が知っていることを答えよう。」
いきなり質疑応答形式でやり始めるらしい。


小脳に関して、ご自身はheresyの立場であると言う。
そういう言葉が日本語にもあるか分からないけれど、
日本語では何と言うのですか?と問いかけたときに、
前の方で健康という声が挙がったので勘違いした。
後で聞いたら、healthyではなくheresyだったらしい。
辞書で引いたら、異端とか異説という意味だった。
小脳ではもちろん有名なIto-sama(原文ママ)がいて、
motor learningやmotor coordinationと言われている。
しかし、Dr. Bowerは運動ではなくむしろperception
ではないかという説を唱えて学会に反旗を翻している。
でもなかなか認められなくて、レビュアーに論文を
ちゃんと引用していないと言われたら、いやいや
あなたの方こそ原論文を読み誤っていると反論したり、
そういうことが続いて今までずっと大変だったらしい。


一度流通してしまった学説に反論するのは容易でないが、
自分はそれが違うと思ったら、そういうことこそすべきだ。
そして一度やると決めたら、とことん追求すべきである。


これほど熱いまなざしを持った研究者はまぶしい。
自分が確かに異端であると認めるところも潔くてよい。
科学者が矜持を持つというのはああいうことなのか。
語り口も穏やかでありながら力強くて惹きつけられる。


それで、sensorimotor contingencyを考えれば、
運動だけとか知覚だけと切るような見方は短絡的で
むしろ一連のものとしてこそ考えるべきであって、
もしそうであるならば小脳も例外ではないのかも。
そもそも、coordinationするにはsensory feedbackが
必要で、感覚抜きで話は閉じないのだから当然か。
と思ったけれどそんなに単純な話じゃなかったのかな。
進化的な視点なども入っていたのでもっと複雑そう。


お昼はお弁当。でも今度はスクールの方から出される
お弁当で、しかしこれが意外に美味しい。お味噌汁付。

  • Dr. Ryuichi Shigemoto (National Institute for Physiological Sciences)
    Glutamate receptors: Their localization, function, and roles in physiological learning processes

レセプター、イオンチャンネルレベルのお話。
凍結割断レプリカ免疫標識法という独創的な
手法を発展させて、電顕で直接それらを見る。
金粒子で標識できるというのがすごかった。

  • Dr. Nelson Spruston (Northwestern University)
    Mechanisms of dendritic integration and plasticity

樹状突起の場所ごとにちがうシナプス可塑性。
LTP/LTDやバックプロパゲーションなど。


今夜はバンケット。立食形式でパーティー
まだしゃべったことない人がいたら紹介しますよ、
と講義のとき隣になったOさんが親切にいろいろ
連れて紹介してくださったので、ほとんど全員
とお話することができたと思う。本当に感謝。
デザートまでぱくぱく食べて飲んで大満足。


それから、ポスターセッション第二部開始。
昨日たくさん説明したから暇かと思いきや、
全然そんなことなくて、大勢来てくれた。
Poster session by Dr. Sakumura
Coordinatorの方が写真を撮ってくださった。


いろいろ議論をしながら、統計が専門のNさんと
ちょうど同学年ということもあったりしてか、
お互いのポスターを紹介しあった後も引き続き
長々と話し込んでしまい、向こうの方では
宴会が始まっている気配がするのも何のその、
立ち続けながら研究のことやら何やらずっと
しゃべっていたら、気付いたら1時だった。
バンケットが始まったのが18:30でそれから何時に
ポスターの前に立ち始めたのか分からないけれど、
少なくとも4、5時間はノンストップで立ち話。
さすがに気付いたら二人ともぐったりしていて、
足がぷるぷるするので、座って飲みながら
話せばよかったですね、と言って笑いあった。
次の日の午前中、Nさんは見あたらなかった。

竈から立ちのぼる湯気のごとく自由闊達に

スプリングスクール二日目(予習会を一日目として)。
朝9時から3時間くらいで昨夜の予習会のつづき。
よくまとまった発表で適格に6本強の論文を紹介してもらう。
自分が紹介した論文の関連研究がいくつかあり、やっと
ここで位置付けが見えてくる。そういう文脈だったのか。


奈良先(NAIST)の学生・ポスドクさん方とランチに行く。
会場の目の前、京町家のお店の暖簾をくぐると二階に通される。
和室なのに背の高いテーブルが置いてあり、意表を衝く。
すこし遅れてOさんがいらして七人になったので、隣から
椅子を運んできてもらい、Iさんがお誕生日席に着かれる。
Hさんと同じちょっとお値段も張るけど豪華なお弁当にする。
Lunch in Kyoto
ああ美味しい。ついつい無言になってしまう。


そのお部屋から見えた中庭。風情がある。
Cortile of machiya in Kyoto


帰りに暖簾をくぐる前の左側におくどさんがあった。
Okudo-san
こういうのおばあちゃん家にもあって使っていた。
お正月の前に餅米を升単位で蒸してお餅を搗いた。
九の着く日は兎さんの日だから避けて、と言って。


午後から本格的に、レクチャーが始まった。
先生おひとりにつき2時間。密度が濃い。

  • Dr. Geoffrey J Goodhill (University of Queensland)
    Growth cone guidance by molecular gradients
  • Dr. Alex L. Kolodkin (The Johns Hopkins School of Medicine)
    Molecular Mechanisms Governing the Establishment of Neuronal Connectivity

成長円錐の伸長の実験とモデルの話、それから、
セマフォリン系による忌避もしくは誘引について。
ちょうど、伸びる方とそれを引っ張る/反発する方で
対になったトークになっていてストーリー性がある。


夜はポスターセッション。たくさん聞きに来てくれて
みんなかなり興味を持っておもしろがってくれて、
質問もばんばん飛んできて、活発にやり取りしてる間に
かなり長い時間いろんなディスカッションができた。
一番驚いたのは、同じ刺激を使って実験したことがある
という方が聞きに来たこと。Varelaらの論文を読んで
発展させてみようと思う人はやっぱりいるんだと嬉しかった。
どこで苦労したかや、刺激作成に関するコツなどについて
かなり詳細で的確なありがたいアドバイスをいただけた。
共同研究を申し込めばよかったんじゃないかとさえ思った。


他にも、こういう解析をした方がいいとか、このデータの
呈示の仕方はこうした方がよいとか、ここの解釈の妥当性
についてはどう考えているのかとか、次にこういう実験も
やったらいいとかもらえるのは示唆に富んだコメントばかりで
今回あまり重視していなかったけれど発表した甲斐があった。
どこぞやの大学の頭が硬すぎる連中より、ここでお会いした
数多くの院生やPDの方々の方がはるかに頭がいいじゃないか。
言葉遣いを直すぐらいしか能がなくて、本質に関わるような
まともな質問のひとつもできない輩っていったい何なんだ。
まあいいや。若くて優秀な人たちに会えて本当によかった。
時間が十分あったので、他の人の発表も聞きに行ったら、
皆おもしろいことをやってて、とてもいい研究をしていた。


夜遅くまで宴会が続いた。組織の問題点について
いろいろ熱く議論されていて、似たような構造は
普遍的にどこにでもあるのかなと思ってしまった。
まだ間に合うから、自由になることが大切だ
というメッセージが何度もくり返されていた。

南米の時間

EELC2010 (the Emergence and Evolution of Linguistic
Communication)が終わった。ひとり1時間半でかなり長かった。
Hauserらが提案した、LFN(Language Faculty in the Narrow sense)と
LFB(Language Faculty in the Broad sense)の間にあるなにか、
a narrow senseとa broad senseのあわいに思いを馳せる人たちが
いっぱいいて、各々がいろんなおもしろいアプローチを取っていた。


進化を考えるときに、retrospectiveな視点だけじゃなくて、
future-orientedな方向に考えたらなにが分かるんだろうか。
共通のthe ancestor of languageとかprotolanguageが
どんなものかは興味深いけれど、反対方向に展望して、
offspring of languageはなにかということが気になった。


春の学校の予習会は、有志により14時から始まって
22時を過ぎた頃にようやっと自分の発表が回ってきた。
あいだに30分くらい夕食休憩があったけれど、
それ以外はずっと論文を読みながら話を聞いて、
分からないところを質問して、ぐったりしてしまう。
だんだん疲れてきたところで当番が来たので、
頭の中がゆるゆるして、ぐるぐる説明しがちになる。
ど忘れしたところは聴衆に語りかけながらその場で
一緒に考えることにして、なんとか乗り切った。


紹介したのは、
Maintaining accuracy at the expense of speed:
stimulus similarity defines odor discrimination time in mice.
Abraham NM, Spors H, Carleton A, Margrie TW, Kuner T, Schaefer AT.
Neuron 44(5): 865-76. (2004)
http://www.gatsby.ucl.ac.uk/~ahrens/tnii/AbrahamSchaefer2004.pdf


マウスの動物行動実験で、匂いの弁別課題を通じて、
嗅覚におけるスピードと精度のトレードオフを示した。
また、匂いの類似度が高いほど、処理時間が長くなる。
このことは、Uchida & Mainen (2003) Nat. Neurosci.
http://www.gatsby.ucl.ac.uk/~ahrens/tnii/UchidaMainen2003.pdf
での匂いの類似性と処理時間は関係ないという報告への
反論という意義があって、細かいところをぷちぷち
つぶしながらつぶさに調べて、説を覆したのだそうだ。
行動実験で何かを主張する、というときにやるべきことと、
とるべき解析方法としても参考になるところが多々あった。


分子や細胞レベルのミクロな話はほぼ初めて接するので
最初はとまどうけれど、何度も同じような話が続くと、
(同じテーマの論文が続けて2、3報、紹介される)
だんだんイメージがわいてきて、すこし慣れてくる。
ニューロンの話とかだと、昔カンデルで勉強した知識が
おぼろげながら思い出されて、単語とかに見覚えがある。
この辺はわかるわかる、と思えるところがあると嬉しい。
わかるところが徐々に増えてもっとつながれば楽しい。


予習会はひとりずつの発表時間に制限がなくって、
みんなたくさん主張したかったり手間取ったりで、
終わったのが23時だった。(会場の閉まるぎりぎり。)
お昼過ぎの14時から始めたのが、はるか遠い昔だ。
時間が足りなかったので、明日また3時間くらいで
論文6本を読むことになった。ひとり30分の駆け足。


3時半くらいまで懇親会でいろいろ話を聞いたり
しゃべったり、研究者の方々と語り合っていた。
予習会の取りまとめや進行役もやってた人が
すごい変な人(褒めてる)で個性的ですごかった。
奥さんが藝大の日本画だったり、来年度からは
先輩のOさんと同じ研究所に就職が決まったとか、
意外なつながりで、全然知らないところじゃなくて
知っているところと関わりがあるのが不思議だった。


明日から、またしばらく外国からのlecturersの
お話にどっぷりつかろう。英語の時間が続く。


南米とかにいるつもりで、ビーチでゆっくり
くつろぎながら参加するくらいの気持ちで
焦らずに楽しめばいい、とその人が言ってた。

おばんざい万歳

今朝から京都に来ている。お昼はおばんざいランチを食べた。
好きなものを好きなだけ選べるので、五品選んでほおばった。
たまたま見つけた進化言語学の国際学会に出席することにしたら、
知らなかったけれど、主催者は池上研のOBの方だったらしい。
それもあってか、池上研の人も何人か聴きに来ているようだ、
というのを、夜、バンケットで立食形式であるのにもめげずに
せっせとお代わりをしながらお腹を満たしていたら、何人か
知り合いがいて話をしていて知った。そうだったのか。
これが終わったら今度はシステム神経生物学の春の学校がある。
合わせて1週間ばかりの長丁場になるので、身を引き締めて。